円山へ、ラン&ウォークで行ってきました。円山医院(225m)への通院は2週間ぶりです。アプローチの歩道は、家を出てから登山口まで、コチコチ、ツルツルで、ピークに到達する前に遭難するのではないかと、思ったほどです。さらに、先週、通院を休んだ言い訳を院長先生(山の神)にどうするかも、足取りを重くしていました。
ザクザクと、登山口からはいい感じの圧雪で、スパイクがよく効きます。案ずるより産むが易しとは、よく言ったものです。あれこれ考えるよりも、まず動くことで、簡単に答えがみつかることがあるものです。
夕暮れが近いせいか、小鳥のさえずりもありません。静寂のなか、前回の続きを、「リテンション(retention)」について、歩きながらつぶやくことにしました。
リテンション、この単語、聞いたことがありますか?
リテンション(retention)とは、直訳では「保持」とか「維持」です。転じて、人事や労務管理の領域では「人材の維持」といった意味で使います。
人材の流出は、企業にとっては大きな痛手です。採用コスト、育成コストもさることながら、中小、零細企業にとっては、事業の継続を左右しかねない大きな問題です。
人材流出を防ぐ施策としては、一般的には、報酬の見直し、社内コミュニケーションの活性化、社員教育や能力開発制度の整備、キャリアプランの整備など、社員が働きやすい環境を整えていく取り組みが行われます。
優良人材を新たに採用し、そして育成するには、時間的コストもかかります。そのため、最近、リテンションに取り組む企業が増えてきています。
オフィス阪野では、リテンションに関する様々な施策を提供しています。特に力を入れているサービスは、人材流出に悩む事業に提供する、エグジットインタビュー(exit interview)です。
出口面談、退職時(前)面談などと訳されますが、退職者(離職者)から、直接、退職理由をヒアリングするサービスです。事業主や上司では、なかなか聞き出すことができない本音ですが、中立的な第三者なら、それを聞き出すことができる場合があります。
本音の中には、社内の人間関係、経営に対する意見、人事・給与制度に関する意見など、今後のリテンションに有益な情報が潜んでいます。これを丁寧にすることがリテンションの基本だと思っています。
エグジットインタビューが済むと、その情報の精度を高めるために、今度は、在籍者へのインタビューを行います。数多くの面談を通じ、人事・労務管理に関する情報収集を繰り返していくことで、その事業に必要なリテンション施策が見えてくるようになります。
社会保険労務士の仕事は非常に多岐にわたりますが、近い将来そのほとんどをAIがこなすようになるといわれてます。手続き関係は、その最たるもので、本当に近い将来AIがミスなく手続きを完了してくれるようになると思います。一方、リテンションに関係するコンサル等は、AIが取って代わるようになるには、もう少し先になると考えています。ここにロートルのコンサルの活路があると思っています。
こんなことをつぶやいていたら、ルート最大の難所にさしかかりました。長めの急な坂がツルツルに凍って、行く手を阻んでいます。膝が胸につくまで持ち上げないと前に進めない急坂で、そこが凍っていると踏ん張ることもできず、冬はいつも難儀をしています。しかし、近づいてルートをよく見ると、誰かがステップを刻んでくれていました。
ピッケルを持っていた昔は、氷壁にステップを刻んで、急登を進んだことがあります。一瞬ですが、その時のとってきつかった時間を思い出しました。
円山にピッケルを持ってくる奇特な人がいるもんだと、感心しながらそのステップを進むと、最初の下山者とすれ違いました。ほっぺを赤く染めながらおりてくる山ガールです。
以後、四人とすれ違いましたが、全て年配のオヤジでした。今日の円山のオヤジ率は自分を含め83.3%。貴重な山ガールした。
リテンションのことも忘れ、そんな、くだらないことを考えいるうちに、ピークに到着しました。
山の神への報告
ピークの気温は、マイナス1℃。思ったより寒くはありません。ピークを独占していると、シマエナガの集団やってきて、さえずりなが歓迎してくれました。
山の神に、この2週間の報告をしました。サテライトオフィスが完成したこと。たくさんのお祝いをしてもらったこと。そして、野菜スープダイエットで3キロ減量したこと。
山の神は「先週は、なぜ来なかったの?来ることができなかったの?それとも、来ようとしなかったの?」というような、突っ込みをすることもなく、ただ、ただ静かにそこに佇むのみです。
「もう少し通ってくださいね」とやさしい言葉をかけてもらったような気がしました。
体が軽くなったことで、上りでも息が弾むことがなくなりました。心が軽くなったことで、バランスを保てるようになり、下りはとても楽におりてくることができました。
途中、ランで登ってくるツワモノとすれ違いました。気持ちよさそうな息遣いを耳にして、いつかはランで来れるよう、頑張ろうと心に誓いました。
野菜スープダイエットについては、また、いつかお知らせします。
今日もスタートラインに勇気を持てた奇跡に感謝します。
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